新生霧たんぽ鍋

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2014年8月 4日 (月)

思い出のマーニーとゲド戦記を比較して

思い出のマーニー2周目行ってきました!

原作を読んでから改めて作品を観てみました。
ジブリにしては珍しく割りと原作に忠実に作ってある気がします。
セリフなど大部分は原作通りで、一部をうまくアレンジしています。

ゲド戦記に比べると1万倍くらいいいです(後述)。

思い出のマーニー

<人物・風景描写>
まず、原作の舞台は現代よりも数十年前のイギリスですが、映画では現代の北海道を舞台にしています。この点は、作品に対してより親しみ深くなれるので、良いアレンジだと思います。しかも、北海道!地元!木々や光の感じ、風景や空気が丁寧に描かれていて好きです。また、湿地のある舞台としてを釧路湿地を選んだり、風車をサイロに変更したり、お祭りのシーンを入れたり、北海道のペンション風の家や家具、独特の植生を利用して昔のイギリスの風景と現代の日本をつなげたのはうまいなぁと思いました。マーニーの家は外国風のままにしておいた点は、マーニーの存在の神秘性または異質な様を強調する効果として働いていて良かったです。監督によってはこの設定を日本の田舎の旧家とかにしてしまう人もいると思うんですが、そうしなかったのは良かったと思います。

杏奈の描写は少しオリジナル要素が入っています。杏奈が絵を描いているシーンは原作にはないんですが、これは杏奈のキャラクターをわかりやすく描くための設定としてうまく機能しています。描いていた絵は、最終的にそこに描かれていた人物が消されていて、杏奈の孤独や人に対して心をひらいていない人物像がわかりやすく表現されています。杏奈(原作:アンナ)を現代に生きる等身大のキャラクターとしてうまく描けている気がします。
 また、原作では描かれていませんが、杏奈の目の色を青色にし、それを伏線として使っているところも、作品のミステリー要素を高める働きをしていて良い感じです。

<百合的演出>
映画は原作以上に百合っぽいです。原作でも二人の告白シーンなどはありますが、それ以上に映像としての演出がかなり追加されいます。マーニーのちょっとした仕草(この仕草は宮﨑駿には描けない。米林監督がこの作品の監督をやってくれて本当に良かった)に顔を赤らめる杏奈やマーニーとのダンスシーン、ボートの先端にマーニーが立つタイタニックみたいなシーン、マーニーのスケッチなど、これらの追加要素で杏奈がマーニーに心を奪われていく過程が丁寧に描かれていて、キャラクターの描写がうまい。監督の指示の密着多めというのも百合度をかなり上げている気がします。

<シナリオ構成>
この作品には、実はもう一人ヒロインがいて、原作ではプリシラ、映画では彩香というキャラクターが作品の後半から登場します。原作の下巻ではほとんどマーニーは出てこなくなって、プリシラとその家族たちとの日常が描かれています。映画ではこの大部分がカットされていて、あくまでもマーニーと杏奈の二人に焦点を当てています。これは個人的には、そっちの方が分かりやすくてありかなと思います。原作を読んでいて、読んでいる自分もマーニーの存在を忘れそうになっていました。もしかしたら、そこを狙った演出なのかもしれませんが。
 映画後半は割りと駆け足になって、話が進んでいくため、人物の心情変化がつかみにくいと思ったのですが、原作も割りとそんな感じでした。杏奈が"マーニーを許す''と言うシーンもやっぱり急激に心変わりしていました。ここは杏奈が成長したからなんでしょうか。頼子を許すシーンは原作よりは映画のほうが分かりやすく表現されていました。大岩夫妻から杏奈が知らない頼子の話を聞いたことと(写真の話等)、自分と似た境遇を持ち秘密を打ち明けることができる友達ができたことで、この結末に至ったのだと理解しています。でも、この後半の心情変化は、オリジナル要素を入れてもう少し長めに描かないと、観客にはあまりうまく伝わらないかもしれません。ここが惜しい。

この作品は全体的に人物の描写と世界観設定が原作の良さを壊さずにアレンジしてあって良かったです。原作が地味なだけに、やはり大ヒットとはいかないかもしれないですが、個人的には千と千尋の神かくしよりも好きです。

ゲド戦記

自分は小学校のときにこの作品の原作を読んで非常に気に入りました。個人的には自分自身の影との戦いを描いた1巻「影との戦い」とアレンと影の国へ行く3巻「さいはての島へ」が好きです。映画は原作の3巻をベースにしているようであって、そこに4巻のキャラクターを登場させたり、1巻の要素も加えてみたような、よく分からない構成になっています。
自分はこの映画を初めて観た時、その出来のあまりの酷さに途中で観ていられなくなって、怒りを通り越して言葉では表現できないような感情が沸き起こり、目を背けてしまいました。最近になって、この作品の何がダメなのかを明らかにするため、この作品と向き直り、血反吐を吐く思いをして、じっくりと鑑賞しました。

<人物・風景描写>
まず、世界の描写ですが、これは過去のジブリ作品をオマージュし過ぎていて、原作をどこかに置き忘れてしまっている気がします。絵に関しては腐ってもジブリなので綺麗ですが。世界設定に関しても何の説明もなく、ゲドの出身地や魔法を使うのに重要な真の名についてもなんの説明もなし。人物描写に関しては、本来主人公であったはずのゲド自身の描写が皆無。サブ主人公のアレンの性格があまりに異なりすぎている。さらに驚愕したのは、アレンにオリジナル設定が加わっており、物語のはじめでアレンが父親を唐突に何の理由もなく殺してしまう。この設定はいったい何のために?しかも、このオリジナル設定をいれたにもかかわらず、この後、父親殺しに関してほとんど描かれなていない。テルーも謎のツンデレっぽいヒロインに変わっていたり、クモが女っぽいキャラクターになっていたり、もはや何が何やらさっぱり分からん・・・。キャラクターの心情変化も全くわからないです。全員、ただ意味もなく暗いだけ。セリフも、ただそれっぽいセリフを並べ立てただけで、セリフ間のつながりも全く見いだせない。この作品は思い出のマーニーと異なり、人物描写が下手くそすぎます。

<シナリオ構成>
シナリオに関してはわけが分からないの一言です。アレンは何がしたかったんですか!?唐突に父親を殺したり、永遠の命を求めたり、自分の影が現れたり・・・。何の説明もなくテルーが急に竜になったり。これは4巻の内容ですが、なぜ、この設定を入れた・・・。これなら素人脚本のほうが百倍増しな気がします。でも脚本はマーニーの人が担当しているんですよね。ただ宮崎吾朗関監督も脚本をやっているようなので、やはり宮崎吾朗監督の脚本が悪すぎる気がします。原作を読んだのかも怪しい・・・。作っているうちにわけがわからなくなって、でも作らねばならないという状況で完成した脚本のような気がします。

<音楽>
全編通して、音楽が弱すぎる・・・。印象的な曲もない。音楽の使い方も悪いように思います。

ゲド戦記は個人的には原作と比較しなくても最悪な出来だと思うのですが、なぜか世間ではそこそこ評価されているのが残念です。昔、自動車教習のときに後ろに乗っていた同期の教習生が「ジブリ作品でゲド戦記が一番面白い!」と言っていたのを聞いた時には、怒りで運転がぶれそうになったことがあります。ゲド戦記は演出や人物描写においてマーニーと対極的な作品だと思います。ゲド戦記のファンとして非常に残念です。

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